個人塾経営の日々ーコツコツとのんびりとー

小さな個人塾を経営しています。ゆっくりのんびりと生徒とむきあいたいです。

無職で学習塾を設立した話。ーその1ー

これから、学習塾を始めようとしようとしている人、そして、現在、路頭に迷っている仲間に一読いただきたい。

2018年9月、英語専門の学習塾を設立した。理由は、2020年の新大学受験制度に対しての反感からだった。

2020年度の新大学受験制度では、英語四技能試験が導入される。東大のように、必須としない、と決定した大学もあるが、多くの大学は英検やTOEICなどを活用する方向に進むに違いない。

 しかし、この制度は多くの欠陥がある。例えば、技能試験そのものの欠陥をみてみよう。英検(2級)やTOEICは、大学を目指す高校生にとっては、あまりにも簡単で、ただ読む、聞くだけの技能であり、大切な「教養」、英文への深い理解を問うものではない。また、制度的な欠陥もある。民間試験は、それぞれ目的が異なっている、TOEICならビジネス英語、TOEFLは北米の大学進学、IELTSはイギリス、ヨーロッパを中心とした大学進学、移住で用いられる。そして、文部省がこの試験の根幹としてるCFER(ヨーロッパ言語共通参照枠)も、変更されることが決まっており、正直、グラグラ、ガバガバ、この制度作った人、外国語勉強したことないんじゃないの、というヤバイ制度なのだ。

 しかも、英検はこの制度に合わせて値上がりすることが決まっている。高校三年生用の英検が創設され、2000円から3000円ほど値上がりする。IELTSなどの試験は、大都市圏しか受験できないだけでなく、受験料は25000円とかなり高額だ。

 経済的な問題だけでなく、地理的な問題もある。英検などの四技能試験に対応できる学習塾は、田舎にはない。資格試験である以上、コツがある。そのコツさえつかめれば、高校生で英検準1級は難しくない。しかし、それを伝える人が、田舎、地方にはいない。いたとしても高額な料金をとられることになる。

つまり、この新大学受験制度は、都会の私立に通う、おぼっちゃんに有利な試験制度だ。

このことに、わたしは、怒ったのだ。

 だが、ただ怒り、SNS上にコメントしてすっきりするような輩にはなりたくない。そこで、低料金で英検を効率的に取得できる学習塾を設立することに決めたのだった。そのとき、わたしは、無職だった。

 昨年度までは、研究者としてとある大学にいた。そして、契約が切れた。大学を離れ、妻の住む地方都市に移住し、非常勤・常勤講師のくちを探していた。そんなある日、妻に妊娠を告げられた。うむ、ここで就職しようと思った。カタギに戻ろうと。しかし、妻に学習塾設立の構想を伝えると、「やってみていい。」という、お許しが出た。新しい物好きのわたしにとって、このチャレンジは、胸が踊るものだった。

ここで、わたしのスペックについて書きたい。男、33歳、学歴旧帝大博士課程(人文学系)、英検1級、元公務員。ちなみに、小中高と学習塾には通ったことがない。塾講師として務めたことはある。英語は得意だが、専門分野ではないので、英検1級をとったのは、数年前海外の研究機関へ留学するためにIELTSを勉強したときに、ついでに受けたものだ。

今年の四月、海外の研究機関へ挑戦したが、見事に不合格、そして、それを合図に、学習塾設立へと舵を切った。

学習塾を開くにあたっての狙いは、英検の浸透していないような地方に設立、そして、できるだけ低料金で英検を取得(できれば準1級以外は、受験しなくていい)を可能にすることだ。そして、フランチャイズの学習塾、他の高額な料金をとる英検専門の塾に、打ち勝つ個人塾を目指している。

もともと、そんなに儲けるつもりもない。ボランティアでも良いかと思ったが、それでは宣伝広告の実施、しっかりと教える場所の確保、そして何よりも競合他社に認識させ、価格競争に持ち込むことができない。

これは、わたしなりの、教育ビジネスに対する挑戦であり、受験制度対しての反抗なのだ。とても、小さいけれど、わたしと出会った生徒は必ず、幸せにしよう。

2018年5月、わたしは学習塾設立に向け、テナントを探すことになった。

つづく