個人塾経営の日々ーコツコツとのんびりとー

小さな個人塾を経営しています。ゆっくりのんびりと生徒とむきあいたいです。

無職で学習塾を設立した話。ーその4ー 灼熱の編

「無職だからなんでもできる!」と、無尽蔵の時間を使い、せっせと学習塾の内装にとりかかった33歳無職のわたしは、妊娠中の妻の助言により、IKEAというオシャンな家具を、塾用の什器にするというアイデアを得て、なんとか予算50万円での開業を目指していた。

2018年7月末から、テナントを借りたものの、最初の1週間は、電気が使えなかった。この夏の暑さをわたしは、一生忘れないと思う。

小中高大と剣道を続け、公安職で働いていたわたしは、暑さには強いという自負があった。しかし、2018年夏の暑さは、わたしの限界を超えていた。

家から片道70kmあるIKEAまで、軽自動車で通い、少しずつ学習塾に運んだ。現在、塾にある99%のものは、わたしが実際に運びいれたものだ。

テナントは2階のため、運ぶだけでも大変だったのだが、なによりも木造二階であったため、すこぶる暑い。熱がこもっていたのだ。

したたる汗をおさえながら、家具を組み立てる。IKEAの家具は、ユーザーフレンドリーではない。組み立てにくい。しかも、ふたりで組み立て推奨のものでも、わたし以外いないので、ひとりで組み立てるしかなかった。

IKEAはオシャレだけれど、組み立てにくい。それに比べ、ニトリはとても組み立てやすい。なるほど、ニトリがここまで広まった理由がわかるようだっった。

作業を2時間続けると頭がぼーっとする。保冷剤を何個も持って行ったが、すぐに溶けてしまい。ぬるいアクエリアスを飲み続けた。持参した3枚のタオルはすぐにびっしょりと濡れてしまった。

テナントの外階段は、数年間使われていなかったそうで、苔が生え、虫の死骸だらけだった。はやく掃除しなければ、生徒や保護者を迎え入れない。そんなことを考えながら、モップを手に、ひたすらに磨き上げた。

この数日間で、頭痛がとれなくなり、頭の違和感がとれるのに1週間以上かかってしまった。たぶん、熱中症になってしまっていた。それでも、内装がおわったとき、本当に晴れやかな気持ちになったのだ。作り上げた自分の城、来てくれる生徒がいるのだろうかと、不安になりながら、ぞうきんをかけながら、わたしは少しずつ自分が、塾を経営するという実感を噛み締めていた。

内装を完成させた。とうとう、生徒を呼び込むことができる。しかし、家からも遠い場所にひらいた塾、地縁もなければ、もちろん知り合いもいない。折込チラシにするか、ポスティングにするか、いや、もうお金がない。じゃあ、窓看板をどうするなど、広告宣伝という問題にぶつかるのだった。